価格はどう伝えるべきか

葬儀社のための価格転嫁と顧客理解の進め方

原材料費や人件費、エネルギーコストの上昇が続く中、葬儀社にとって「価格転嫁」は避けて通れない経営課題となっています。

一方で、
「葬儀は価格に敏感な分野」
「値上げをすると不信感を持たれるのではないか」

こうした不安から、価格改定の判断を先送りにしている葬儀社も少なくありません。

本記事では、葬儀社が価格転嫁に取り組む際に重要となる**“伝え方”と“顧客理解”**の考え方を整理し、信頼関係を損なわずに進めるためのポイントを解説します。


なぜ、葬儀社は価格転嫁が難しいのか

葬儀は、突然の出来事の中で検討されるサービスです。
ご遺族は時間的にも精神的にも余裕がなく、価格の内訳や相場を冷静に比較しづらい状況に置かれます。

そのため、価格に対して
「よく分からない」
「後から高いと感じてしまう」
といった不安や不信を抱きやすい特徴があります。

さらに、

  • 不謹慎に思われそうでお金の話がしにくい
  • 高い・安いの基準が分かりにくい

といった業界特有のイメージもあり、十分な説明がされないまま契約が進んでしまうケースも見受けられます。

こうした背景が、葬儀社にとって価格転嫁を難しくしている大きな要因だと言えるでしょう。


価格転嫁は「値上げ」ではなく「適正価格の維持」

まず押さえておきたいのは、価格転嫁は単なる“値上げ”ではないという点です。
本来は、サービス品質と事業継続を守るための「適正価格の見直し」です。

人件費を抑え続ければ、

  • 経験あるスタッフが定着しない
  • 教育が行き届かない
  • サービスの質が安定しない

といった問題が生じます。

その結果、顧客満足度の低下やクレームの増加につながるリスクも高まります。
価格転嫁を行わないことが、必ずしもお客様のためになるとは限らないのです。


価格転嫁で最も重要なのは「どう伝えるか」

葬儀社の価格転嫁において重要なのは、「いくら上げるか」よりも**「どう伝えるか」**です。
ポイントは大きく3つあります。

① 価格改定の背景をきちんと説明する

「人件費や資材費が上がっているから」という理由だけでは、十分に伝わりません。

  • 安定した体制で葬儀を執り行うため
  • 経験あるスタッフが最後まで対応できる体制を維持するため

など、サービス品質と結びつく理由として説明することが大切です。

② 内訳を分かりやすく示す

一式表示だけでなく、

  • 何にどのようなコストがかかっているのか
  • 以前と何が変わったのか

を簡潔に示すことで、納得感は大きく高まります。

③ 価格比較ではなく「価値」を伝える

他社との単純な価格比較ではなく、

  • どのような姿勢で葬儀を行っているのか
  • どの部分に力を入れているのか

といった自社の価値や考え方を言語化することが、理解につながります。


顧客理解を深めるための情報発信がカギ

価格転嫁を円滑に進めるためには、契約時だけでなく平時からの情報発信が重要です。

例えば、

  • ホームページで料金構成の考え方を説明する
  • コラムやブログで業界動向や背景を伝える
  • 事前相談の場で丁寧に話す

こうした積み重ねがあることで、「いざという時」の価格への納得度は大きく変わります。

価格は突然伝えるものではなく、時間をかけて理解を育てていくものだと考える必要があります。


価格転嫁を現場任せにしない

価格改定の説明を現場スタッフに丸投げしてしまうと、対応にばらつきが出てしまいます。

その結果、

  • 説明不足による誤解
  • スタッフの心理的負担
  • クレームリスクの増大

につながりかねません。

経営として、

  • 価格改定の背景
  • 想定される質問への回答
  • 伝え方の基本方針

を整理し、社内で共有しておくことが不可欠です。


まとめ|価格転嫁は「信頼をつくるプロセス」

葬儀社における価格転嫁は、単なる経営判断ではありません。
顧客との信頼関係をどう築くかというテーマでもあります。

  • 適正価格を維持する理由を伝える
  • 内訳と価値を丁寧に説明する
  • 平時から顧客理解を深める

これらを意識して取り組むことで、価格転嫁は「不満の種」ではなく、「信頼を深める機会」へと変わります。

経営の持続性とサービス品質を守るためにも、価格転嫁を前向きな経営施策として捉え、計画的に進めていくことが、これからの葬儀社経営に求められています。

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