葬儀社経営コラム第139号
病院から信頼される葬儀社とは

~病院連携を強化するための信頼構築ポイント~
目次
はじめに
少子高齢化が進むなか、病院と葬儀社の連携はますます重要性を増しています。特に都市部では、病院での看取りのあとすぐに搬送の手配が必要となることが多く、スムーズに対応できる葬儀社を「紹介」する病院も増えています。
では、どのような葬儀社が病院から選ばれるのでしょうか。本コラムでは、病院との連携における信頼構築のポイントを解説します。
病院紹介が“入り口”になる時代
近年、葬儀社を初めて知るきっかけとして、「病院からの紹介」が占める割合が増えています。
突然の別れに直面したご家族は、病院スタッフから「この葬儀社は丁寧に対応してくれますよ」と紹介されると、そのまま依頼に至るケースも少なくありません。
つまり、病院は紹介元であり、同時に営業の最前線ともいえる存在なのです。
病院現場で起きているトラブルとその背景
しかし一方で、病院側からは葬儀社とのやりとりに関して次のような声も聞かれます。
◆夜間の搬送に時間がかかり、病院対応が滞る
◆エンゼルケアの進め方で病院と認識がズレ、看護師との摩擦が生じる
◆スタッフの態度や服装が不適切で、病棟内の雰囲気を乱す
◆紹介の連絡手順が複雑で、病院側の負担になる
こうしたトラブルは、信頼を損ね、紹介が途絶える原因にもなります。
病院から選ばれる葬儀社の共通点
病院スタッフが「紹介したい」と感じる葬儀社には、いくつかの共通する特徴があります。
1. 夜間・休日でも迅速に搬送対応ができる
「30分以内に到着してくれると本当に助かる」という声は少なくありません。特に夜間や年末年始など、即応体制が整っているかは重要な評価ポイントです。
2. エンゼルケアや看取りへの理解がある
病院ごとに看取りの方針やケアの流儀は異なります。看護部や事務部との定期的な情報共有を行い、現場での認識のズレを事前に解消しておくことが信頼につながります。
3. 礼節と配慮を欠かさない立ち居振る舞い
エレベーターや通路でのマナー、他の患者さんやご家族への配慮も見られています。スタッフ教育の初期段階から、病院内での立ち居振る舞いの徹底が求められます。
4. スムーズな紹介のためのツール整備
紹介カードやパンフレットなど、病院スタッフがご遺族に渡しやすい資料を用意しておくことも大切です。紹介後の連絡も時間帯に配慮し、負担をかけない連絡体制を整えておきましょう。
“地域連携”を見据えた信頼構築の取り組み
病院との連携は、一度限りの紹介にとどまりません。地域の一員として長期的な信頼関係を築いていく視点が重要です。
◆年に一度、医療・介護従事者向けの見学会や勉強会を開催する
◆医療ソーシャルワーカーとの情報交換や意見交換の機会を持つ
◆病院と共同で「エンゼルケア講習会」を開催する
こうした継続的な取り組みが、病院側の信頼を深めるきっかけとなります。
おわりに──紹介される葬儀社とは、現場で“安心”を与える存在
病院から紹介されるということは、「この葬儀社なら安心」と病院スタッフが感じている証です。そしてその安心は、最終的にご遺族の満足にもつながります。
日々の対応力、礼節、情報共有の積み重ねが、地域医療との信頼を育て、“選ばれる葬儀社”への一歩となるのです。