後継者不在の葬儀社必見!「事業承継・M&A補助金」で経営資源を引継ぐ方法
葬儀業界で経営相談を受けていると、近年増えているのが「子どもが会社を継がない」「社内に後継者候補がいない」という相談です。地域で長年営業し、黒字経営を続けている葬儀社であっても、後継者がいなければ廃業を選択せざるを得ないケースが多々あります。
しかし、葬儀社には地域で築いてきた信用、顧客名簿、会員組織、葬儀ホール、車両、従業員、寺院や仕出し業者とのネットワークなど、多くの経営資源があります。単純に会社を閉じてしまうのは、非常にもったいない選択です。
そこで検討したいのが、親族や従業員への事業承継、あるいは第三者へのM&Aです。そして、その際の費用負担を軽減できる制度が「事業承継・M&A補助金」です。
▶事業承継・M&A補助金
令和7年度補正予算では、同補助金に「事業承継促進枠」「専門家活用枠」「専門家活用枠 小規模売り手支援類型」「PMI推進枠」「廃業・再チャレンジ枠」の5つの支援枠が設けられています。例えば、5年以内に親族内承継や従業員承継を予定している企業の設備投資、M&Aを行う際のFA・仲介会社などの専門家費用、M&A後の経営統合などが支援対象となります。
後継者不在の葬儀社に特に注目していただきたいのが「専門家活用枠」です。会社を第三者へ譲渡する場合、M&A仲介会社やFAへの報酬、デューデリジェンスなどにまとまった費用が必要になります。こうした費用の一部を補助してもらえるため、「M&Aに興味はあるが費用が心配」という中小葬儀社にとって利用価値の高い制度です。なお、FA・仲介費用については、原則として「M&A支援機関登録制度」に登録された事業者による支援が対象となる点には注意が必要です。
また、同じ地域の葬儀社に事業を譲渡する場合、必ずしも会社全体を売却する必要はありません。「葬儀会館だけ」「会員事業と顧客基盤」「従業員を含む葬儀事業」など、事業譲渡という方法も考えられます。葬儀社の場合、隣接地域への商圏拡大を考える同業者とのM&Aは比較的相性の良い選択肢です。
事業承継で最も避けたいのは、経営者が高齢になってから慌てて譲渡先を探すことです。買い手探し、企業価値の整理、株主や家族との調整には時間がかかります。
「まだ5年は経営するから大丈夫」ではなく、元気なうちから自社の価値を整理し、親族承継、従業員承継、第三者承継の3つを比較することが重要です。
廃業するかどうかを決める前に、“この葬儀社を誰かに引き継げないか”を考える。それが、会社だけでなく、従業員の雇用や地域のお客様とのつながりを守る第一歩になります。
以上は、「後継者がいない場合」を前提に説明しましたが、「事業承継・M&A補助金」は「後継者がいる場合」「葬儀社を買収する場合」にも利用できる補助金です。「事業承継促進枠」「PMI推進枠」は、建物の改装も対象になっている数少ない補助金のひとつです。事業承継や買収を機に、古くなった一般葬向けホールを家族葬ホールや安置施設に改修し設備の有効利用をしたい、という計画にも対応が可能です。
「事業承継・M&A補助金」は、事業承継やM&Aの様々なシーンで利用できる補助金です。しかし、支援枠が多く枠ごとに細かく要件が定められているため、わかりにくい補助金でもあります。
事業承継やM&Aでご不明な点、そのほかの補助金や助成金についても、葬儀社様の補助金情報で気になることがあれば、ぜひご相談ください。



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