葬儀社経営コラム第136号
地域密着型葬儀社の集客戦略

リアルなつながりで築く信頼と継続的な関係
葬儀は、ご遺族にとって大切な「人生の節目」です。だからこそ、依頼先には“安心して任せられる存在”が求められます。デジタル化が進む中でも、最終的な決め手となるのは「顔の見える信頼関係」です。
特に地域密着型の葬儀社においては、リアルな接点による信頼構築が、長期的な集客の土台となります。本コラムでは、ネットだけに頼らない“地域との関係性を活かした”集客施策についてご紹介します。
目次
地域イベントへの積極的な参加
町内会のお祭りや敬老会、防災訓練といった地域イベントは、自然な形で認知を得られる貴重な場です。
実践例:
◆お祭り会場でのエンディングノート配布・無料相談ブース設置
◆敬老会での「終活」講話
◆防災訓練での災害時の遺体管理に関する紹介
参加者はすぐの利用者ではないかもしれませんが、“いざという時の相談先”としての信頼を築くチャンスです。こうした接点が、口コミや紹介へとつながります。
地元企業・寺院・福祉団体とのネットワーク構築
地域における信頼の獲得は、葬儀社単独では困難です。地元に根差した団体と協力し、信頼の連鎖を築くことが重要です。
具体例:
◆寺院と共催する「お彼岸法話と終活相談会」
◆包括支援センターとの高齢者支援セミナー
◆福祉施設での出張相談会の開催
「○○と一緒にやっている葬儀社」という印象が、「しっかりしている会社」という安心感につながります。
ホール・相談スペースの「地域開放」
式場や相談室を、葬儀以外でも活用できる“地域の居場所”に変えることで、日常的な関係が生まれます。
活用アイデア:
◆月1回の地域サロン・人生カフェの開催
◆健康体操や町内会の集まりの受け入れ
◆子育て世代向けの「赤ちゃんと学ぶ終活講座」
日常の中で自然に立ち寄れる場所にすることで、“暗い施設”から“安心できる空間”へと印象が変わります。
地域紙・町内会報での情報発信
ネットが苦手な高齢者層には、紙媒体での接触が効果的です。町内会報や地域紙でのコラム連載やセミナー告知は、継続的な信頼の構築に有効です。
掲載内容の例:
◆「家族葬の基礎知識」などのコラム連載
◆セミナー開催情報と開催レポート
◆実際の施行エピソード(許可・匿名化のうえ)
「最近よく見るね」「感じが良さそう」といった印象が、じわじわと地域に広がります。
スタッフの地域活動と“個人の顔”の浸透
地域密着型では、会社の名前以上に「人」で覚えてもらうことが鍵です。スタッフの地域活動への参加は、最も自然な広報活動です。
例:
◆相談員が民生委員や防犯パトロールに参加
◆代表が商工会での講話を担当
◆スタッフが福祉施設でボランティア参加
「○○さんのいる葬儀社だから安心できる」——このような個人ベースの信頼は、選ばれる理由そのものになります。
まとめ|“人と人”のつながりこそ、集客の原点
インターネットが発達した今だからこそ、対面で築かれる信頼関係の価値はより高まっています。
◆地域行事への参加
◆地元団体との連携
◆ホールの地域開放
◆紙媒体での継続的な発信
◆スタッフの地域活動
これらを継続的に行うことで、“地域の記憶に残る存在”となり、いざという時に選ばれる葬儀社へとつながっていきます。
地域と共に生き、地域に信頼される——
それが、これからの地域密着型葬儀社に求められる姿です。