【葬祭事業者向け補助金情報】事業再構築補助金で全額返還命令──葬祭業も知っておきたい新制度「新事業進出補助金」

2025年8月16日(土)の報道で、事業再構築補助金を巡り6000万円の全額返還命令が出たことが明らかになりました。北海道の民間動物園が、建築許可を得ないまま施設を建設したとして、国からの交付決定が取り消され、全額返還を命じられたのです。さらに札幌市からの上乗せ補助金750万円についても返還が求められる予定です。
このニュースは、今後補助金活用を検討する葬儀社にとっても大きな示唆があります。
なぜ「事業再構築補助金」はトラブルが多かったのか?
事業再構築補助金はコロナ禍を背景に始まった大型制度でしたが、葬儀業界を含む多くの中小企業で次のような問題が発生しました。
- 採択されても経費の一部が認められない
- 事務局の判断が後から覆る
- 資金繰りが悪化し倒産する企業が続出
実際、東京商工リサーチによると補助金採択企業338社が倒産。サービス業での割合が高く、葬儀業のように地域需要に依存する業種にとっても他人事ではありません。
「補助金が出るから大丈夫」ではなく、制度を正しく理解し計画的に使うことが不可欠です。
葬祭業に関係する「新事業進出補助金」とは?
事業再構築補助金はすでに終了し、後継制度として「新事業進出補助金」が始まっています。
- 採択予定件数:約6000件
- 補助金額の目安:平均2500万円、最大9000万円
- 対象経費
- 会館の建築・改修費
- 葬儀システムや管理ソフト導入費
- 広告宣伝・販促費(パンフレット制作、Web広告、地域新聞広告など)
- 機械装置(霊柩車設備、音響・映像機材など)
葬儀社がこれまでに活用してきた「施設改装」「管理ソフト導入」「人材研修」「販促強化」といった投資も対象に含まれる可能性が高いのが特徴です。
申請時の注意点(葬儀社が特に意識すべきポイント)
- 従業員ゼロの事業者は申請不可
パート・アルバイトも従業員数に含まれるため、規模が小さな葬儀社でも対象となる場合があります。 - 事前着手は禁止
交付決定前に契約・購入・発注を行うと補助対象外になります。館内改装やシステム導入を急ぎすぎないことが大切です。 - 申請はオンライン(GビズID必須)
事業計画の作成には「新規性」「市場性」の説明が求められるため、専門家の協力を得ると安心です。
葬祭業にとっての活用メリット
- 地域密着型ホールの改修・リニューアル
- 会員システムや予約システムの導入
- スタッフ研修によるサービス品質向上
- 紙媒体とWebを組み合わせた広告宣伝
人口減少と競争激化の中、補助金を活用した「差別化投資」が、これからの葬儀社経営には欠かせません。
まとめ
- 事業再構築補助金では全額返還命令が出るなどトラブルが多発。
- 後継制度「新事業進出補助金」は葬儀社にとっても活用可能性が高い。
- 申請には注意点があり、専門家と連携して準備することが成功の鍵。
補助金は「リスク」も「チャンス」も伴います。今回の報道をきっかけに、自社にとって本当に必要な投資は何かを見極め、制度を賢く活用していきましょう。