SNS時代の供養文化:#追悼投稿は新しいマーケティングになるか?
SNSが生活の一部となった今、「#追悼」「#ありがとう」などのハッシュタグを使って故人を偲ぶ投稿が増えています。
写真や思い出を共有し、オンライン上で故人を見送る──。
かつては家族や親族の場で完結していた“供養”が、いま静かにデジタルへ広がり始めています。
葬儀社にとって、この動きは単なる流行ではなく、新しい文化とマーケティングの転換点と言えるかもしれません。
目次
1. デジタル供養が広がる背景
Instagram、X(旧Twitter)、TikTokなどのSNSでは、故人の写真や思い出を投稿する「追悼文化」が確立しつつあります。
この背景には以下の流れがあります。
- コロナ禍で広がった非対面葬儀・オンライン法要
- スマホ世代を中心に「気持ちを共有すること」が供養の一部になる価値観
- デジタル上で思い出を残すことが自然になったライフスタイル
これらが重なり、「供養のデジタル化」という新しい文化が社会に根付いてきました。
2. なぜSNS供養が注目されるのか
● 若年層の価値観の変化
形式よりも“想いの共有”が重視され、SNSでの追悼が供養の一部となりつつあります。
● 距離の制約を超える
海外や遠方に住む人も、同じハッシュタグで追悼に参加できます。
● コミュニティが生まれる
故人を知る人々がオンライン上でつながり、思い出を共有する新しい弔いの場に。
こうした理由から、SNS供養は今後さらに一般化していくと考えられます。
3. 葬儀社にとってのビジネスチャンス
SNS供養は“文化”として広がるだけでなく、葬儀社にとって大きな新しい機会になります。
① ブランド認知の強化
- 「#〇〇葬儀社」「#ありがとうキャンペーン」などのハッシュタグ活用
- 投稿したくなる式場デザイン・フォトスポットづくり
- 追悼投稿を自然に促すストーリーブランディング
② オンライン追悼サービスの提供
- 追悼ページ・メモリアル動画制作
- SNS連動の「デジタル献花」サービス
- 会葬礼状やフォトブックと連携したデジタル記録の提供
③ 終活・事前相談セミナーでの活用
- 「SNS供養のマナー」「デジタル遺品整理」など
- 若年層・働き世代への新規顧客獲得につながるテーマ
オンラインで自然に広がる世界だからこそ、葬儀社が関わることで“安心感あるデジタル供養”が実現します。
4. 注意すべきリスク
メリットが大きい一方で、以下のリスクは必ず抑える必要があります。
- 故人や遺族の個人情報の公開リスク
- 写真・動画の無断掲載によるトラブル
- 葬儀社が関与する場合の規約整備・情報管理体制
経営者は、「安心・安全を担保したうえで提供できるサービス」として設計していくことが重要です。
5. 今後の展望:オンライン供養はどこまで進化するか
SNS供養は、単なる投稿文化からさらに発展する可能性があります。
- AIで思い出を自動整理し、アルバムや動画を生成
- メタバース空間でのバーチャル法要
- 自動追悼リマインダーや、家族だけのメモリアルルーム機能
こうしたサービスは、葬儀社が新たな収益源をつくる大きなチャンスとなり得ます。
まとめ:#追悼投稿は、未来のマーケティングである
SNS上の追悼投稿は、
「供養文化の変化」と
「葬儀社の新たな顧客接点」
の両方を示す重要なサインです。
葬儀社はこれを単なる流行と捉えるのではなく、
“供養のデジタル化戦略”として積極的に取り入れていくべき時期に来ています。
安全性を確保しつつ、デジタル追悼サービスやSNSを活用した企画を展開することで、
若年層との接点を強化し、業界に新しい価値を生み出すことができるでしょう。


