直葬・火葬式が増える今、葬儀社が乗り越えるべき課題とは

価格競争だけに陥らない、これからの「選ばれる理由」づくり
近年、通夜・告別式を省略した「直葬(火葬式)」が主流になりつつあります。
その背景には、費用面の事情、家族関係の変化、コロナ禍を経た価値観の転換などがあり、今後もこの流れは加速すると考えられます。
儀式の簡略化は、業務の効率化や人員負担の軽減というメリットもある一方で、単価の低下・収益構造の悪化・顧客接点の希薄化といった課題も深刻です。
この「直葬時代」に、地域葬儀社はどう向き合うべきか――。現場で支援を続ける私たちが、いま必要だと感じる視点を共有します。
「直葬」が選ばれる理由は、価格だけではない
確かに、「直葬=安い」というイメージは根強くあります。
しかし実際には、
- 親族が少ない、高齢で動けない
- 人付き合いが減り、呼ぶ人がいない
- 葬儀に時間もお金もかけたくない
- 宗教儀礼にこだわりがない
といったライフスタイルや人間関係の変化も要因となっており、単なる「節約志向」だけでは語れません。
つまり、お客様の本音や事情に寄り添いながら、直葬でも“納得感”のある提案ができるかが、今後のカギとなります。
単価ダウンを補う「価値提案型」の営業へ
儀式を省略する分、葬儀社としては提案できる内容が限られるように感じるかもしれません。
しかし実際には、以下のようなミニマム葬に付加できる価値が多く存在します。
● 火葬前のお別れ空間づくり
わずかな時間でも故人らしさを表現できる空間演出(写真・愛用品・音楽)や、数分のセレモニー演出は「やってよかった」と言われやすく、満足度を高めます。
● アフターサポートの体系化
遺品整理、供養、法事サポート、グリーフケアなど、「その後の不安」に寄り添う提案が信頼につながり、継続的な接点のきっかけにもなります。
● オンライン活用・デジタル化
オンライン会葬や動画アルバム、追悼ムービーなど、少人数だからこそ活きる“デジタル活用”も新たなサービス価値となります。
「直葬=シンプル」でも「感情=シンプル」ではない
形式を省いても、ご遺族の悲しみや想いがなくなるわけではありません。
むしろ「何もできなかった」「お別れした実感がない」と後悔が残るケースもあります。
だからこそ、**「儀式は最小限でも、心は尽くす」**という提案力こそが、これからの葬儀社の差別化ポイントとなります。
まとめ:葬儀の「再定義」が求められている
直葬が選ばれる今、これまでのセオリーでは通用しない場面が増えています。
「儀式の設計」から「体験の設計」へ。
「売上重視」から「満足価値の最大化」へ。
その変化に柔軟に対応しながら、地域の中で“選ばれ続ける存在”でいられるかが、これからの生き残り戦略です。
(株)コンサルティングファームでは、直葬型サービスの再設計や、低単価時代に対応する事業モデルの見直し支援も行っています。
「単価が落ちた」「問い合わせはあるが成約につながらない」など、課題をお感じの方はお気軽にご相談ください。
