葬儀社経営コラム第134号
「安い=集客できる」はもう通用しない?

価格競争から脱却するために考えるべき“本当の価値”
「他社より価格が安ければ、お客様は来てくれる」
「少しでも安くすれば、それだけで選ばれるはず」
そんな考え方は、かつてはある程度通用した時代もあったかもしれません。しかし、今はどうでしょうか?
消費者の目は確実に変わってきています。情報があふれ、選択肢が増えた今の時代、「価格」だけではお客様の心は動かなくなってきているのです。
「価格だけ」で選ばれる危うさ
たしかに、安いというのは大きな魅力です。しかし、それはあくまで「比較対象」が存在する場面での話。つまり、お客様は“他社と比べたとき”に価格が安いから選んでいるにすぎません。
これは裏を返せば、もっと安いところが出てくれば、そちらに簡単に流れてしまうということでもあります。
価格だけを武器にした集客は、一見効果があるように見えても、長期的には不安定です。リピーターになりにくく、ブランドとしての価値も積み上がらず、結果として「常に価格を下げ続けなければならない」悪循環に陥る可能性があるのです。
選ばれる理由は、価格以外の“安心感”と“納得感”
「他より安いから」ではなく、
「ここに頼めば安心だから」
「この人たちに任せたいと思ったから」
こうした感情的な納得や信頼感こそが、お客様が本当に求めている価値です。実際、多くの方が購入や契約の際に重視するのは「価格」よりも「信頼できるかどうか」「ちゃんと話を聞いてくれたか」「トラブルがあっても対応してくれそうか」といった心理的要素です。
特に葬儀業界など、人生の大事な場面に関わる業種では、“価格以上に誠実な対応や細やかな気配り”が選ばれる決め手になります。
自社の「価値」を言語化し、伝える努力を
では、価格以外の価値をどうやって伝えていけばよいのでしょうか?
以下のような取り組みが効果的です。
◆実際にあった「お客様の声」を丁寧に紹介する
◆担当スタッフの想いや日々の仕事ぶりを発信する
◆事例紹介を通して、自社の強みや対応力を具体的に見せる
◆ホームページやパンフレットで“人のぬくもり”が伝わる表現を使う
こうした情報発信を通じて、「ただ安いから」ではなく、「ここがいいから」と思ってもらえる会社へと変わっていけるのです。
真のブランド力とは「価格では動かないお客様」がいること
「価格で選ばれる会社」から「信頼で選ばれる会社」へ。
それが、安売り競争から抜け出し、安定した経営を実現するための道です。
お客様にとって本当に価値あるものは何か?
その答えを突き詰めていくことで、価格では測れない“独自の魅力”が必ず見えてきます。
価格ではなく価値で勝負する経営へ。