葬儀社経営コラム第124号
なぜ若手社員は定着しないのか?

目次
世代別の離職理由と対応策【葬祭業界編】
人手不足が慢性化する葬祭業界において、若手の確保と定着は経営の最重要課題の一つです。特に、「せっかく採用してもすぐ辞めてしまう」「面接時と入社後のギャップに耐えられなかった」という声は後を絶ちません。
本記事では、若手社員の離職理由を世代別に整理し、葬祭業界に特化した対応策と成功事例を交えてご紹介します。
【Z世代(1996年以降生まれ)の離職理由】
- 感情労働への耐性不足:遺族対応や急な呼び出し、死に向き合う業務に対する心理的ハードルが高い。
- 職場文化とのギャップ:上下関係や“見て覚えろ”文化に適応できず孤立するケースも。
対応策:
- 感情のケアを含めた教育制度の整備
→【事例】ある葬儀社では、新人研修に“グリーフケア講座”や“感情マネジメント”を導入。先輩社員によるロールプレイ形式の遺族対応訓練で「自信がついた」との声も。 - 1on1ミーティングで不安を拾い上げる仕組み
→月1回の1on1面談で「何がつらかったか」「続けるために何が必要か」を共有し、早期離職を防止。
【Y世代(1981〜1995年生まれ)の離職理由】
- キャリアパスの不透明さ:司会・搬送・プランナーと業務が分かれていても、明確な昇進ルートが見えない。
- ワークライフバランスへの不満:夜間の呼び出しや休日対応に不満を感じる社員も。
対応策:
- 職種ごとのキャリアマップの提示
→【事例】都内の葬儀社では、「○年で主任 → ○年で支配人候補」といったステップを図で明示。評価基準も数値化し、納得感のある昇進制度に。 - 当番制や仮眠室の導入で負担軽減
→夜間帯の出動を当番制にし、当直者には翌日の業務を軽減するなど配慮。自社内に仮眠室やシャワールームを設け、負担軽減に成功。
【共通の課題:入社前と現場のギャップ】
- 「感動的な仕事だと思っていたが、実際は細かい段取りと体力勝負だった」
- 「スーツを着て葬儀を仕切る姿に憧れていたが、搬送や設営が主な業務だった」
こうしたギャップが離職の引き金になっています。
対応策:
- インターンや影体験の導入
→【事例】ある地方の葬儀社では、応募前に1日体験会を実施。設営から司会、後片付けまで体験させ、「思ったより地味だけど、だからこそ価値がある」と納得して入社する人が増加。 - SNSや動画で業務のリアルを発信
→TikTokやYouTubeで業務の裏側を紹介。「想像していたよりも“人”に寄り添う仕事だとわかった」と志望動機につながるケースも。
【成功の鍵は“人間関係”と“理解される努力”】
どの世代にも共通して言えるのは、「人間関係の良し悪し」が定着に大きく影響するということです。仕事の大変さはあっても、「ここでならやっていけそう」と感じられるかどうかがポイントになります。
社内コミュニケーション施策例:
- 朝礼時の感謝タイム導入(感謝を伝える習慣)
- 誕生日に手書きメッセージカード贈呈
- 毎月の小規模飲み会費用を会社が補助(参加自由)
おわりに
葬祭業界は“人の温かさ”が問われる仕事である一方、働く側にとっては体力・精神力を要する過酷な現場でもあります。だからこそ、入社前の期待値調整と入社後の支援体制の充実が定着率を大きく左右します。
若手が「辞めたくない」と思える職場をつくるために、会社としてどんな“努力”ができるかを見直してみませんか?