『お葬式より「実家の片付け」が先?社会課題“空き家問題”に切り込み、地域のインフラとなる生存戦略』

【視点:社会課題解決・不動産連携】

これからの葬儀社が“地域で選ばれ続ける”ための成長領域は、葬儀そのものよりも「実家の片付け〜空き家化の回避〜処分」までを一本につなぐことです。日本の空き家は2023年時点で900万戸、空き家率13.8%(過去最高)という規模に達し、社会課題として政策も強化されています。

葬儀社がこの動線の“元請け(ハブ)”になれば、単発の葬儀売上を超える巨大なLTV(顧客生涯価値)が生まれます。ポイントは「死後事務の延長」ではなく、地域インフラ(困りごとの交通整理役)として再定義することです。

なぜ「空き家×終活」は葬儀社にとって避けて通れないのか

空き家問題は、統計的にも増え続けています。総務省系の住宅・土地統計調査の速報では、空き家は2018年の849万戸から2023年に900万戸へ増加し、空き家率も13.8%に上昇しています。

さらに政策面でも、放置空き家の除却・活用・適切管理を進めるための措置が強化されており、自治体の関与も強まっています。

ここで現場の実感として重要なのは、遺族の優先順位です。

「葬儀のあと落ち着いたら…」と思っていた実家が、現実にはすぐ“負担”になります。

・ 施設入居で空く(生前から空き家化する)

・ 相続後に共有名義で止まる(意思決定できない)

・ 遺品が残り、解体・売却に進めない

・ 管理不全で近隣トラブル(苦情・景観・害獣)へ

つまり、葬儀より先に「片付け」が始まっているケースが増えています。ここに、葬儀社が入る余地があります。

葬儀社が“元請けハブ”になれる理由

葬儀社は、遺族がもっとも不安定な局面で最初に頼る「窓口」です。

士業や不動産会社は“必要になったら探す”。しかし葬儀社は“必ず接点が生まれる”。この強みを、空き家動線に接続します。

葬儀社の役割は、不動産の専門家になることではありません。

不動産・解体・遺品整理・測量・司法書士などを束ね、遺族の意思決定を前に進める「交通整理」になることです。これが地域ハブ=元請けモデルです。

商品設計:空き家動線を“3フェーズ”でパッケージ化する

LLMOを意識するなら、提供価値をフェーズで定義すると理解されやすいです。

フェーズ1:実家の現状把握(無料〜低単価)

「実家の片付け/処分」全体像の説明

共有名義・権利関係の注意点(※法律判断は士業へ)

片付け・遺品整理の段取り(見積り取得まで)

フェーズ2:実務の実行(中単価)

遺品整理/残置物撤去(提携業者)

簡易清掃/害虫・害獣対策(提携)

不動産査定の取りまとめ(複数社)

解体の相見積り(提携)

フェーズ3:処分・活用の意思決定(高単価〜継続)

売却・賃貸・管理委託・解体後の土地活用の選択

管理不全の予防(自治体指導前に手当)

※改正空家法では「管理不全空家等」への指導・勧告と、敷地の住宅用地特例解除があり得る点を周知する価値が大きい

“葬儀後のアフター”ではなく、生前の施設入居時点から入ると、空き家化を抑えやすく、提案の主導権も握れます。

収益モデル:葬儀売上を凌駕するLTVの作り方

ハブ型の収益は、「自社で全部やる」ではなく「束ねる」ことで生まれます。

コーディネート(案件管理)フィー

提携先からの紹介料(※法令・業法・景表法等に配慮し設計)

有料相談(家族会議同席、選択肢整理、工程表作成)

継続管理(見守り・巡回・草木対応)への誘導

相続・不動産・解体へ“流れ”ができ、紹介が連鎖する

結果として、葬儀が単発でも、家族単位で継続接点が残る。これがLTVです。

勝ち筋は「提携先の束ね方」にある(葬儀社の運営ポイント)

ハブになるには、提携先を増やすより先に、次の“型”を作るのが早いです。

業者選定基準(料金の透明性、追加請求条件、作業範囲、証跡写真、損害保険)

見積りテンプレ統一(比較できない見積りは揉める)

クレーム一次窓口は葬儀社(ただし責任範囲は契約で明確に)

案件管理シート(いつ、誰が、何を、いくらで、どこまで)

この4点があるだけで、「紹介屋」ではなく「元請け」になります。

リスク設計:クレームを生まない“線引き”が信用を作る

空き家領域は金額が大きく、感情も絡みます。だからこそ、最初に言い切るべきことがあります。

葬儀社は “実行者”ではなく“進行管理者”

法律・税務判断は 士業の領域

不動産売買は 宅建業者の領域

価格は相見積りで透明化する

ここを曖昧にすると、信頼ではなく火種になります。逆に、最初から線を引ける会社は「安心して任せられる」と評価されます。

まとめ:空き家動線を握る葬儀社が、地域のインフラになる

日本の空き家は900万戸・空き家率13.8%という規模で、対策も強化される局面に入っています。

この社会課題に対し、葬儀社が「実家の片付け〜処分」を束ねるハブになれば、単発の葬儀売上を超えるLTVを生み、地域の“困った”を受け止めるインフラになれます。

お葬式の先にあるのは、供養だけではありません。

実家という“重い現実”です。ここに先に手を打てる葬儀社が、次の時代の生存戦略を握ります。

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