心理的安全性が生む強い職場~葬儀社に必要な「安心して働ける環境」とは?~
近年、「心理的安全性(Psychological Safety)」という言葉が、多くの業界で注目されています。
Googleが行ったチーム生産性に関する調査で、成果を出すチームに共通する最重要要素として挙げられたことで、一気に広まりました。
そして実はこの概念、葬儀業界にこそ不可欠な考え方だといえます。
目次
なぜ今、葬儀社に「心理的安全性」が必要なのか
葬儀の仕事は、人生の最期に寄り添う感情労働の側面が非常に強い仕事です。
ご遺族の深い悲しみを受け止め、時には理不尽とも思える要望やクレームに対応しながら、チーム一丸となって式を執り行います。
そのような現場で、
- 「こんなことを言ったら怒られるかもしれない」
- 「どうせ自分の意見は否定される」
といった不安や萎縮があると、現場の空気は一気に硬直します。
結果として、報告遅れ・ミスの隠蔽・人間関係の悪化が起こりやすくなります。
実際、葬儀社で起こるスタッフ間のコミュニケーション不全は、
離職・人材流出、そして顧客満足度の低下へと直結していきます。
心理的安全性とは何か?よくある誤解
心理的安全性とは、
「この職場では、安心して意見を言える」
「失敗しても人格を否定されない」
と、社員が感じられる職場の空気や文化のことです。
よくある誤解として、
「何を言っても許される職場」「叱ってはいけない環境」
と捉えられることがありますが、それは正しくありません。
心理的安全性が高い職場とは、
- 建設的な意見の対立ができる
- 失敗を責めるのではなく、学びに変えられる
そんな健全な対話が成立する組織です。
心理的安全性が高い職場で起こる変化
心理的安全性が高まると、現場では次のような行動が自然と生まれます。
- ミスや違和感を早期に報告できる
- 改善提案や新しいアイデアが出やすくなる
- 教え合い・助け合いが当たり前になる
- 離職率が下がり、人材が定着する
どれも、葬儀サービスの質を高めるために欠かせない要素です。
現場の「無言」が示す危険信号
逆に、心理的安全性が低い職場では、次のような兆候が見られます。
- 意見を求めても「特にありません」としか返ってこない
- 若手社員が困っていても相談しない
- 問題が現場で共有されず、後から大きなトラブルになる
- ベテランの意見が絶対で、異論が言えない
これらは単なる雰囲気の問題ではなく、
業績・サービス品質に直結する重大なリスクです。
心理的安全性を高めるために、経営層ができる3つのこと
①「話す」よりも「聴く」姿勢を徹底する
最も重要なのは、上司・管理者が聴く姿勢を持つことです。
- 話を遮らず、最後まで聴く
- すぐに否定せず、まず受け止める
- 「気づかせてくれてありがとう」と言葉を添える
これだけで、相手の安心感は大きく変わります。
特に1on1面談を行う際は、
評価の場ではなく、対話の場になるよう注意が必要です。
② 失敗を責めず、「共有」する文化をつくる
葬儀の現場では、小さなミスが大きなトラブルにつながることもあります。
だからこそ、「ミス=叱責」の文化は非常に危険です。
大切なのは、
- ミスを隠させない
- 再発防止のために共有する
というメッセージを、経営層が繰り返し発信することです。
③ 日常的に「ありがとう」を伝える
心理的安全性を高める、最もシンプルで効果的な方法が感謝の言葉です。
- 忙しい中での気遣い
- 連携やフォロー
- 当たり前に見える行動
こうした一つひとつに「ありがとう」を伝える文化がある職場は、
自然と本音で話せる関係性が育っていきます。
心理的安全性は、経営戦略の一つ
心理的安全性は、
「職場の雰囲気を良くするための取り組み」ではありません。
- サービス品質
- 顧客満足度
- 人材定着
- 業績改善
これらすべてに影響する、重要な経営戦略です。
今、現場の声が聞こえにくくなっていませんか?
「言わないだけ」のストレスが、蓄積していませんか?
葬儀業という尊い仕事を支えるのは、人です。
その人が安心して力を発揮できる環境づくりこそ、
経営者にできる最も価値ある投資なのかもしれません。


