【注目トピック】“自分らしい最期”をサポートする生前契約という選択

~リビング・ウィルを取り入れた、葬儀社からの新しいご提案~
高齢化が進む現代社会では、「人生の終わり方を自分で決めたい」と考える方が年々増えています。
エンディングノートや遺言といった“終活”はすっかり一般的になりましたが、近年特に注目されているのが「生前契約(リビング・ウィル)」です。
生前契約とは、医療・介護・葬儀・財産などに関する本人の希望を、元気なうちに明確にしておく契約のこと。
葬儀社にとっても、従来の“葬儀後”だけでなく、“生前”からお客様と関わることで、信頼関係を深める新たなきっかけになります。
今回は、この「生前契約」に注目し、葬儀社としてどのように活用できるかを、具体的な事例とともにご紹介します。
目次
生前契約(リビング・ウィル)とは?
生前契約は、本人が判断力のあるうちに、終末期や死後の希望を文書化しておく仕組みです。
たとえば、以下のような内容を事前に取り決めることができます。
- 延命治療を受けるかどうか(リビング・ウィル)
- 葬儀の形式や規模、宗教様式
- 火葬・納骨・散骨の希望
- 喪主・連絡先の指名
- 支払い方法や積立の有無
- 遺品整理や遺言に関する要望 など
「リビング・ウィル」は特に医療面に焦点を当てた意思表示ですが、葬儀の内容も含めることで、本人の希望をより丁寧に尊重することが可能になります。
なぜ今、生前契約が注目されているのか?
生前契約を希望する背景には、さまざまな社会的変化があります。
- 単身高齢者の増加
身寄りのない方や親族と疎遠な方が増え、「自分の最期は自分で決めたい」という声が強まっています。 - 認知症への備え
将来的に判断力が低下することを想定し、今のうちに意思を残しておくことの重要性が高まっています。 - 多様化する葬儀のニーズ
「音楽葬にしたい」「少人数で静かに見送りたい」など、価値観の多様化に対応するためにも、事前の意思確認が欠かせません。
葬儀社が提供できる生前契約サービス
葬儀社が生前契約の窓口になることで、お客様との関係性を“死後”から“生前”へと広げることができます。
たとえば、以下のようなサービスが考えられます。
- 葬儀内容や費用に関する事前相談・文書化
- ご家族への引き継ぎ資料の作成
- 弁護士・司法書士など士業との連携
- 分割払いや積立方式の提案
- 契約書・エンディングノートの保管サポート
- 死後事務委任契約の案内とサポート
終活セミナーでの情報提供や「死後事務委任」とのパッケージ提案なども、利用者からの関心が高いサービスです。
生前契約を活かしたマーケティングの可能性
生前契約を前面に打ち出すことで、以下のような効果が期待できます。
- 顧客の囲い込み
生前から関係を築くことで、葬儀・法要・供養と長期的なサポートが可能に。 - 差別化・信頼獲得
「誠実に人生の最期を支える会社」として、地域内でのブランド力向上につながります。 - 口コミ・紹介の増加
契約者本人はもちろん、ご家族からの信頼や紹介も得やすくなります。
実際の事例紹介
●地方葬儀社Aの取り組み
- 司法書士と共催した終活セミナーで生前契約の必要性を啓蒙
- 終活パスポートを配布し、相続や遺品整理も含めた支援を展開
→ 生前契約経由の相談が家族ぐるみで増加し、紹介率が前年比140%に
●都市型葬儀社Bの取り組み
- 「生前契約サポートデスク」を設置し、オンライン相談にも対応
- Web契約にも対応し、若年層や忙しい働き世代の契約数が増加
→ 家族葬・直葬の約3割が生前契約経由に
導入に向けた実務ポイント
生前契約を取り扱うには、以下の点に留意する必要があります。
- 契約書は必ず士業と連携して作成する
- 提案時は“備え”の文脈で不安をあおらない表現に
- 無料説明会や相談窓口を設けて、契約への心理的ハードルを下げる
- スタッフには成年後見制度や終活全般の知識研修を行う
まとめ:これからの葬儀社は「生前」から選ばれる時代へ
“終活”が前向きな文化として根付いてきた今、葬儀社に求められる役割も進化しています。
生前契約の提案は、単なる葬儀の準備ではなく、「人生の最終章を自分らしく生きる」ための大切なサポートです。
葬儀社は、人生の最後を見守るだけでなく、“人生をデザインするパートナー”としての役割を果たせる存在へ。
その第一歩として、生前契約という新たな接点を、ぜひ事業に取り入れてみてはいかがでしょうか。